1.幽霊少女のお願い

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「あの……。そこを片付けていいですか?」  一応、許可を取ろうと思った。  できれば、このまま消えてくれると助かるのだが。 「……」  虚ろな目がゆっくりと俺を見るから、ますます背筋が寒くなる。 「あのー、何かこの世に心残りでもありますか?」 「……」 「難しいことはできないけど、簡単なことなら手伝いますよ」  俺は、霊を追っ払うのは好きではない。  追い払われた霊は消えるわけではなく、未練がある限りまた戻ってくるからだ。  中には、話を聞いてもらえただけで満足して成仏する霊もいる。  この少女もそうだといいなと思って聞いてみただけだ。 「……ワ……タ……シ……テ」 「私て?」 「……ワタシテ……」 「渡して? 誰かに渡したいの?」 「……ワタシタイ……」 「何を渡したいの?」 「……ユ……ビ……ワ……」 「指輪? どの指輪?」 「……」 「この部屋にある?」  少女はコクリと頷いた。 「そうか……。指輪がこの中に……」  目の前にはゴミの山。  果たして、見つかるのだろうか?
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