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「……これでよし」
キュッと巻き付けた包帯の端を2つに裂いて交互に二度腕に巻き付けてきつく縛る。
「できるだけ濡らしたりしないように気をつけて。できたら明日取り替えさせて下さい。さっきの人にに言っておいたらいいかしら?」
言いながらメリッサは首を傾げた。
たぶんこの少女にだけ言っても「忙しい」とか言って来ない気がする。
「先ほどの男性の方に明日少しだけ彼女の時間を頂けるように伝えておいて」
そうメリッサが告げたのは客室の開いたドアの前で待機するメイドに向けてだ。
「かしこまりました」
了承し、頭を下げながらもその場を動く気のないメイドにメリッサは内心で苦笑した。
(わからないではないけど)
メイドにしてみれば怪我人とはいえ主家の奥方と身元の知れぬ船員の少女を二人にはできないということだろう。
とはいえ部屋の外には護衛の兵士もいるし、少しばかり警戒し過ぎな気もする。
メリッサの現在の立場を鑑みれば当然といえば当然なのだけれど。
(……私が無理やり連れてきたのにね)
居心地悪そうに俯く少女を見ると、やはり警戒し過ぎではないかと思ってしまう。
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