地蔵盆の夜に

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地蔵盆の夜に

「いやぁ、ほんま助かったわ。ありがとな、まさと」  さっきまでの賑やかさはどこやら、俺達がいる公民館は、静けさを取り戻していた。 「いや、俺も食事代が浮いたし、それに、俺のつたないパフォーマンス、あんなに喜んでもらえて、こっちも嬉しかったよ」  キンキンに冷えたビールを受け取り、俺はすぐさま渇いた喉を潤した。 「日が落ちてから、また子どもらがここに来るから、それまで小休憩や。  ……あ、酒、控えといたほうがええで。後でたくさん呑めるからな」  あゆむはそう言うなり、ごろりと横になり、いびきをたてて眠り出した。    地蔵盆に地元で、子どもら相手になんかせなあかんねん。まさと、お前、パフォーマンスうまいやろ? 助けてくれへんか。  あゆむにそう頼まれたのは、7月が終わろうかとしている頃のことだった。  地蔵盆ってなんだ? と、あゆむにたずね返し、後で調べた。  地蔵盆。関西で旧暦の7月23日に行われる地蔵菩薩の縁日。あゆむの地元では、随分昔から、お盆休みの次の週の土曜日に行われているそうだ。     
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