真夜中の花火

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さて寝るかと思って蛍光灯の明かりを消すと、窓の外でちらりと光る火が見える。 しかもその火は継続的にその色を変え、あろうことかぐるぐると回って、何かをこちらに知らせるような挙動を取るのだ。 しかし今は真夜中で、外に出るつもりも、その合図を確かめるつもりもない。 カーテンを閉めてタオルケットをかけて横になり、すると携帯端末がぶるりと震えた。 着信である。 無視していてもぶるぶる鳴って安眠の妨害となるし、電源を切ろうとも家の電話が鳴り響くので、素直に着信に反応しておく。 「もし」 『花火をやろう』 「一人でやってろ」 『実はもう君の家の玄関先まで来ている』 「眠たいんだが」 「私みたいな美少女と夜のアバンチュールを楽しもう!!」 最後の台詞に至っては近所に響いた。 通話口じゃなくて直接耳に聞こえたから間違いない。 二階から降り、つっかけを履いて鍵を開けて玄関を出る。 「やあ、きたね」 「やあ、じゃない。近所迷惑だ馬鹿」 「ふふん、この美少女が夏の思い出を作ってやろうと言うのだ。ありがたく思うと良い」 その後なんだかんだで花火をやって、しかも朝まで騒いでしまった。 何気に楽しかったのが腹立たしい。
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