第二章 サーカスと三人とマジカバトル

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 「コスト2、トレントマン。」  「コスト3、ユニコーン。」  ハジメが名を呼ぶと、魔方陣から現れた魔獣達は彼の目の前に降り立つ。  「ば、馬鹿な。」  その光景にドラフトは狼狽えだす。これ以上の衝撃には身体が耐えられないからだ。  「嘘……!?」  「これって、…!!」  エアリーとオトギも、目を見開いている。  「さぁ、覚悟はできているな?」  「なんなんだ、お前はいったい?!」  と言うドラフトだが、ハジメは既に言うことは決めている。  「俺が誰かだと、それなら教えてしんぜよぉ!!」  と言いながら、まるで舞台役者のように仰々しい動きで、右手で空を指さすようなポーズを取っていく。  「俺は未来の大賢者、名はハジメ。目指すは天下の一番星。しかと、この名前を刻みつけとくんだな、行ってこい!!」  ハジメの宣言に、緑色の木人間と角の生えた馬は、ドラフトを目掛けて進んでいく。  すぐに主を守ろうとするボボボブブだが、役目を終えた魔獣には力が入らず、トレントマンに投げ飛ばされた。  「あぁぁぁ!?」  ドラフトの真正面にはユニコーンが、己の角を突きだす。彼の腹を抉りこむと天高く飛ばした。  「ぐはぁぁ!!」  と強い衝撃を受けて叫ぶドラフトは、そのまま落下し地面に激突すると、気絶してしまった。  この瞬間に、ハジメの勝ちが決定した。  「うおぉぉぉ!!勝ったぞぉこらぁー!!」  ハジメは雄叫びを挙げるが、余力がなくなり仰向けに、倒れていく。だが、ーー  「危ないわね!?」  「ハジメさん!!」  「ガウッ。」  と彼の身体は、エアリーとオトギとスターが受け止めた。  「へへ、やったぜ。」  とハジメは笑う。二人もまた嬉し涙を流しながら、彼に微笑む。  場を締めくくるように、スターの吠える声が辺りに響き渡っていった。
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