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あの戦いから三日は過ぎていた。
ここは首都シャインの防壁に築かれた大きな門の前。
エアリーとオトギが手を繋ぎながら門を潜って街の外へと出ていく。
その後に続いて、包帯だらけのハジメと寄り添って歩くスターが門を潜り抜けて来た。
二人は振り返ると、
「ハジメ、今回は本当にありがとう。」
「ハジメさん、ありがとうございました。」
とお礼を言った。
「いや、別に大した事はしてないよ。」
とハジメは笑いながら、軽くあしらっていた。
「ううん。ハジメさんが居なければ、僕達も無事じゃなかったよ。」
「バーカ。俺に出会わなきゃ、ドラフトの野郎とも会わなかっただろうよ。」
「いいんじゃないの?悪い奴を一人、成敗出来たんだから。今頃は警備隊の詰所の牢屋でたっぷりと余罪やらを取り調べられてんじゃない。」
「じゃあ、結果オーライか。」
三人はまた互いの顔を見合わせて笑いだす。もう出会った当初の頃の様子が嘘のようだ。
「ハジメさんは、この後はどうするんですか?」
「ん?そうだな。またマジカを探すか、五年振りにじい様の墓参りにでもいくかな。」
と顎に手を当てて考えているハジメだが、ふと思った。
「そういう二人は、どうするんだ?」
「え?」
「だってよ、【エンド】って奴等はドラフト以外にもいるんだろう。また襲われるんじゃないか?」
と心配そうに聞くハジメだが、エアリーは自分の鞄の中に手を入れながら、
「その事でハジメに話があるんだけど。」
と言い、鞄からある物を出す。
それは、ーー抜き身のナイフだった。
「危ねぇ!!?」
「あ、ごめん。間違えたわ、こっちよ。」
と彼女が改めて出したのは、長い髪の女神と太陽の描かれたエンブレムだった。
「何だ?」
「これは私達の王家に代々伝わる物で、【エンド】から逃げる時に、お父さんが託した物なの。」
「へぇ~。」
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