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「・・・・・・宮子ちゃん!」
「・・・・・・うわっ!?」
いきなり雪音が宮子のお腹にしがみつき放さなかった。
「やっぱり死にたくない・・・・・・!死にたくないよ・・・・・・!!」
そう必死に訴え声を出して泣き出してしまった。そんな雪音に何も言わず彼女の頭を抱きしめる宮子。
「う、うう・・・・・・ああああああ!!」
雪音はずっと泣き続けた。いくら泣き叫んでも何も変わらないと知っていても涙が止まらなかった。
「ああああああ・・・・・・!!」
「私もゆっきーとは別れたくない・・・・・・ずっと一緒にいたい・・・・・・!」
宮子はその泣きながらの思いが深く胸の奥に突き刺さった。大切な人を救えない無力さ、残酷過ぎる運命の悔しさと抑えるのがやっとだった。彼女も友人の涙につられ強く歯を噛みしめる。
「・・・・・・ゆっきー、ソフトクリーム買いに行こう?」
しばらくして宮子が潤んだ目を拭い笑顔で言った。
「2人でソフトクリーム食べて嫌な気持ちなんて吹っ飛ばそう?近くに凄く美味しいアイスクリーム屋があるんだ。一緒に行こうよ?」
「ぐすっ・・・・・・いいよ・・・・・・!苺ショートがあるから・・・・・・」
「その様子を見る限り長い間、外には出てないみたいだね?久々に吸う外の空気は最高だぞ?」
宮子が雪音の両腕を引っ張った。
「ああもう、しょうがないなあ・・・・・・今日だけだよ・・・・・・?」
雪音もベッドから降り靴を履き髪を整えた。病気のせいで体力がすっかり衰えていたため買いに行く途中で倒れてしまうんじゃないのかと少し不安もあったが外に出てみたいという好奇心の方が遥かに勝っていた。
「よしきた!」
2人は病室を出てエレベーターの方へ向かった。廊下ではさっき親切にした車椅子の老人が笑顔で手を振っていた。
「あのおじいさん知り合い?」
「うん、ちょっとね。」
宮子と雪音はエレベーターに乗り1階行きのボタンを押す。1階に着いて降りると真っ直ぐ病院の出入り口から外へと抜け出した。
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