きっと、大丈夫だから・・・・・・!

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 その発言に雪音の表情が更に暗くなり 「だって私の命・・・・・・あと数年しか残ってないんだもん。好きな物をたくさん食べてもいいじゃない・・・・・・」  雪音は数年前に突如、発症した重い病気で倒れ現在末期症状に苦しんでいた。余命も僅かと宣告されいつも点滴や大量の薬による症状抑制を行なう日々が続いている。だが、その行為も無意味に等しく病気と薬の副作用は彼女の身体を容赦なく蝕んでいた。 「ちょっとちょっと、それは言わない約束でしょ?」  宮子が真面目になって言う。 「ホントの事だもん・・・・・・」  こうやって平然としていて死ぬのを恐がっていないように見えるが本当は恐くて恐くて仕方がなく心の中ではいつも絶望が渦巻いているのだと宮子は知っていた。励ますことは逆に彼女に苦痛を与えてしまうのではないのかとも罪悪感を感じた。しかし、それでもこのやり方を信じ諦めず雪音を励まし続けると心に決めていた。宮子は近くにあった椅子を持ってきてベッドの横に置き腰を下ろす。そして、冷たくなった雪音の手を自身の温かい手で包み 「ゆっきー、あと数年しか生きられないなんてそんなの分かんないじゃん。もしかしたらもっと生きられるかもしれないし奇跡が起きて今の病気が治るかもしれない。1番大切なのは最後の最後まで諦めてはいけない事なんだ。諦めずに生きていればきっと神様が助けてくれるよ。信じるんだ。」
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