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「いや誰メリーさん。これはエリカ人形だよ。ゴミ箱に捨てたのになぁ、オカシイな。お手伝いさん運ぶときに落としちゃったのかも知れないね。宇和野大空大先生ちょっと帰るとき、コレ捨てといてよ。家に持って帰ってもいいけれど」
セグウェイで引きずられるエリカ人形を後ろから僕は見る。
幽霊も大変だ。
何度電話しても出てもらえなかったメリーさん。
着信拒否までされては電話もつながらないメリーさん。
固定電話も公衆電話も少ない時代のメリーさん。
家に忍び込んでも襲い掛かろうとメリーさん。
、迷子になり、もう一回捨ててと言われるメリーさん。
こんなことなら、戻ってこなければ良かったと思っているのだろう。
口の周りの塗装が伸びたエリカ人形は、口裂け女の様にも、満面の笑みで笑っている様にも見える不思議な表情で運ばれていった。
居場所の無い彼女が、どうにも祈られ続ける自分の姿に重なってしまう。捨ててと言われても捨てにくい。燃えるだろうけど。
さて、この人形をどうしたものだろうか。
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