口裂け花子のメリーさん

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 僕の様な部外者は石黒エリカの部屋に、一人ではたどり着けない。  女の子の部屋だからだろうか、へんな虫が寄り付かない様に、屋敷は広く分かりにくい。同じような風景が多すぎて、今どこにいるか僕には分からない。 「来てないね。ほら青麻のオジサンの件があるから、基本着拒してるし、公衆電話からも拒否しているし、友達くらいしか電話繋がらないよ。東海林メアリさんからは時々、宇和野大空大先生の活躍がメルマガで配信されてくるけど」  メルマガ登録されているのか。  活躍していないのに。  そんな風に楽しく笑いながらだった所為だ。自分の家だと言うのにエリカは言った。 「やっべ、道間違えたよ」 「どこここ、って宴会場って書いているけど、部屋と宴会場を間違えるなよなぁ」  そんな所も可愛いと思うが、中学生である。  犬や猫の様な可愛らしさだろう。 「ん、あれあそこ見て」  壁にもたれ掛かるように、倒れたエリカ人形。  歩き疲れたような、疲れ切った姿に見える人形。 「あれ、私これ捨てなかったっけ」 「知らないけど、メリーさんじゃない。これ」     
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