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「それで、こうして巫女装束をきた石黒エリカ人形が居るんですか」
水色のジャンパースカート姿の東海林メアリはケラケラと笑っている。
「うん。流石に、この見た目を僕には捨てる勇気が無い。一応魂が宿っているかもしれないし、メリーさんとして石黒エリカを襲ったり中学校のトイレに行かれても困るだろう。エリカさんって結構人気があるから男子とかに人形拾われるのも気持ち悪いし、いっそここの守り神的なものになってもらえないかなと思ったんだよ」
宙禅堂の賽銭箱に凛と構えるエリカ人形。
外が明るくなる前に、宙禅堂まで運んだ。
「まあ、人形供養は大事ですから、お願いされればしますし。等身大だからこそ、神様っぽいから良いのですけどね。気になるのは何故に巫女なのか」
「いや、神社と言うか寺なのか、ここが何かは分からないけど、こういう所では普通に巫女だろう」
一瞬嫌な顔で睨む水色の彼女。
「本当ですか。貴方の趣味でコスプレさせられたのでは無いですか」
「辞めてくれ、そんな言い方、結構高かったんだぜ。その服」
「その高い服を態々買ったんですか、本当は魂が入った彼女とデートでもしたかったんじゃないですか。人形とデート、傑作ですね」
駄作だろう。
「オバケ先生にも連絡をしたら、花子さんも学校に戻れたらしい。捜し歩いていたんだなぁ口裂けエリカ人形のメリーさん」
捨ててないから、もう襲われることは無い。
花子さんも無事水守小学校の女子トイレ三番目の部屋に帰れた様だ。
「メイクも大空が直したんですか、意外と器用なんですね」
「いや、今きて驚いたよ。てっきりメアリが直してくれたのかと思っていたんだけれど、やっぱり魂でもあるのかなぁ」
細部まで本人そっくりの人形は、美しい顔でコチラを見ている。
僕の夏は人形に始まり人形に終わった。
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