ゆきのちゃんのほっぺ

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「でも、ほら今日は四人でここに泊まろう。それか四人で雄平の家に泊まろう。電気つけっぱなしにしておけば犯人また現れるでしょ。そこを四人で捕まえるの」  終わらせよう。こんな面倒な事とユイカは両手を強く握った。 「雪乃に一つ協力してほしい事があるんだ。歩きながら話すよ」  地獄坂は下りも膝に負担が来る。  中々話を始めないまま二人は目的地へ到着し、コーヒーを飲む。  皆単位は大丈夫だろうかと思ってしまう学生客の多さに、ユイカは小声で話し始めた。 「今日もし、泊まる事になったら、すこしだけ虎次と雪乃にお願い事があってさ。こんな事件の最中だから、アレなんだけど、雄平この間のマラソン大会自己新記録だったんだよね。だからプレゼントというか、ね。色々話したいなぁって」  待ち合わせ時間の五時に全員が揃う。  全員がと言っても急遽アルバイトが入った虎次は居ない。  最近出来たと話題のカフェの店内は見た事のある学生で溢れそうだ。大学の近くと言う事も有り、こうして雪乃達も来る切っ掛けとなったのだが、これでは食堂と大差無い。天井で回るシーリングファンにより暖房効果が上がっている店内は、若者の熱気で少し熱いくらいだ。ジャズだろう音楽は大きな声で笑う男子生徒のボリュームに負け、何が流れているかも分からない。     
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