ゆきのちゃんのほっぺ

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「いや、トリックっていうか、ユイカが鍵持ってただろ。もしその男が、犯人なら態々鍵を閉めなおさなくないか」  トリックと言えばワイヤーを使いサムターン錠に括り付けて、外からでも鍵を掛けれてしまうような。確かに現実的では無い。  そこまでしたとして、財布も通帳も何も盗られていないのだから。そもそも入った事を隠したいなら部屋の中も元通りにしなければおかしいのだから。 「目当ての物があったなら、奪って逃げるだろうし。家の前で見張る意味がわかんねぇんだよ」  それに、家の中に誰かが居たとしたら、二人組の犯行になる。 「一人はチビ、もう一人は俺くらいデカい奴」 「いよいよアンタと虎次っぽいけど」 「俺じゃねぇよ」 「鷲尾君がピンポン鳴らしたときは、誰も居なかったんだろうね。きっと、でも鍵は閉まっていて、次に開けたら散らかっていた」 「その男が、鍵を閉めて私が驚くのを見たかったから部屋の前に隠れていたのかなぁ」 「それ、最低な男だな」 「最低と言うかストーカーして、家に侵入して、って最低でしょ既に。そしてそのストーカーが聞きたかった悲鳴は私がばっちり聞いていました。羨ましがられちゃうかな」 「ダメだ。わかんねぇ。虎次が居れば、もう少しは纏まるのに」 「とりあえず、お酒買いに行こうか。今日は、雄平の家でいいよね」     
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