ゆきのちゃんのほっぺ

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「ああ、俺の部屋も荒らされてなきゃいいけど」 「私やっぱり警察呼ぼうかな。足跡もそうだし、なんか」言いかけて、留める。  そんな事をしたら、ユイカの計画が終わってしまう。彼女にとっては一番大切な事なのだろうチャンスが消えてしまう。そう思うと今日は我慢しようと思ってしまう。 「そろそろ行くか」  回転率を上げるために率先して席を譲ろうと鷲尾はコーヒーを飲み終え席を立つ。アーケードを歩き、ちょっと寄り道したい所があると二人へ伝えた。  有名な店の前で、彼の足が止まる。雪乃の勤めるお菓子屋文吉(ぶんきち)。  看板メニューである名菓、ゆきのちゃんのほっぺは仙台でしか買う事が出来ない有名菓子である。もちもちした食感に包まれたカスタードクリームのアレだ。ゆきのちゃんと呼ばれる二頭身のキャラクターは素朴なのだが可愛らしく、社長文吉の息子が作ったキャラクターである。  ちなみにアルバイトで働く雪乃は知っている事だが、このキャラクター皆にゆきのちゃんと呼ばれているが、実はまだ名前が無い。     
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