ゆきのちゃんのほっぺ

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「僕の名前は平手瓶太だ。君たちと同じ二十歳の無職さ。無職と聞いてどう思ったか知らないけれどね。皆が皆、大学に行けるわけじゃない事を分かって欲しい。君たちはバイトをしているだろう。僕も同じ、バイトをしている。いや、今はして居ないから、今は誰がどう見ても無職だね。君らは親が居るだろう。僕には親が居ない」  同じ二十歳の人間でも違う。 「僕の父は三年くらいか、もう少し前からかな、体調を崩してね。母親も居ない僕はだいがくに何て行かせてもらえなかったよ。そりゃあさ、三浦雪乃みたいに成績が良ければ道はあったかも知れないけれど、何せ急に入院だなんだとで、お金もかかるし、元々の素行の悪さからも、学費なんて出してはくれないだろう」  声は、自分の吐く息で消えてしまいそうな小さなボリュームだった。そこに文句を言う三人でない事を、瓶太は何となくわかっている。 「三浦雪乃には逢いたくて来た。それだけ、迷惑ならもう会わないよ。ずっとそうしてきたし、今さらもう遅いんだから。でもさ」  まあいいか、そうだね。僕がストーカーだ。瓶太はそう言って、謝る。 「ちょっと待てよ。それだけか、お前が全部やったのか、靴のサイズだって、なんかちいさいし、それにどうやって密室を作ったんだよ」 密室って何と虎次は首を傾げる。 「だから、ごめんって。良いだろう。犯人の僕がもう、逢わないっていってるんだから」 「いや、でも気になるし」  ユイカは警戒を解いたのか、冷たい目を辞めている。 「全部僕が悪いんだよ。だから、もういいだろう」     
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