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瓶太が帰ろうと三人から離れようとすると、文吉から雪乃から現れる。小走りで駆け寄ってくる姿は昔と変わらなかった。
「瓶太」
雪乃の笑顔は恥ずかしくなる程に眩しい。
子供が笑う、屈託のない笑顔。
雪乃は瓶太の頭に手を乗せ、撫でまわす。
「久しぶりだね。大きくなったねぇ」
笑顔のまま、鼻声で、目を赤くしながら雪乃はぴょんぴょん跳ねている。
「覚えててくれたんだ。あんま身長伸びなかったけどな」
アーケードの歩行者に邪魔にならない様にと三人は二人を移動させる。
「雪乃ちゃんの知り合いなんだね」
「じゃあ、どうしてあんな事したんだよ。雪乃こいつがストーカーの正体だぞ」
ぅええと驚きの声をあげる。
「ダメでしょ。ストーカーなんかしたら」
めっと雪乃は瓶太を子供叱る様だった。
雪乃のアルバイトが終わり、五人はカラオケ屋に居た。誰も歌こそ歌わないが、外は寒く、とりあえず近くで座って話そうと言い出したのは虎次だった。
「それで、親父が亡くなったから僕も自由と言うか、手が空いて、逢いたくなったんだ。二十越えたっていうのもあるから、二人に逢いに行ったんだよ」
秋田に住む。三浦雪乃と母に。
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