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「もうこの時代ではあのような風習はないでしょう」
「いやいや、まだそちらを好む方はいらっしゃるよ」
かちかちとしたわたしの敬語を聞いて、少年はくすりと笑った。
「どうしていきなりそんな」
くすくす笑いで、そこまでしか言えないらしい。腕を組み鼻を鳴らすと、少年は申し訳ないと言って笑うのをやめた。
この国は一度そのような人達を差別するようになって、それで今ではそんな差別をやめようという話になっているだろう。わたしは差別が色濃い時に生まれたから、それがからだにしみついてる。それでも、消そうとして右往左往しているのだ。
わたしにはめずらしくたくさんのことを一気にまくしたてると、少年はひどく生真面目な顔で
「そのあいだ私の心はここにおりませんでした」と言った。
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