結審のアルカナ

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ヘルムは抵抗することは無かった ノビリスと兵達を集めている場所まで連れてくると、他の者と同様に座るように促すと素直に従った 「お前達をシジルムまで乗せる船の準備が出来次第向かう」 ティクスは、レクスの一族であるヘルムに対してもお前という呼び方をした もう、敬意をはらう意味など無いからだ 「シジルムに渡れば2度と島からは出られない」 シジルムへ流されるとは、そういう事だ 「島へ持ち込めるのは、レクスのご厚意での穀物と数種類の野菜の種子と、耕す為の道具のみ」 他の、生活に必要なモノは、全て島内で調達しなくてはならない 「そんなものが何になるっていうんだ」 「俺達に泥臭い仕事をしろ、というのか」 「冗談じゃない」 ぶつぶつと不平不満を漏らす兵達 前の島流しと訳が違う 今までは、魔法を使い何でも簡単に出来ていた作業を、今度は全て魔法無しでしなくてはならない それも、荒れ地をだ しかし、こうして不平を口にしている者はまだ良いのだとティクスは知っている 不平を言わない1部の者はヘルムを見ていた 誰か1人なら魔法力を戻せるのなら、それを自分にしてもらおう、と狙っているのだ
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