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その姿は、正に伝説上の龍そのものだった
「夢?・・・よね」
大きな眼がギロリと地上に向けられる
龍の緋色の眼が瞳子を捉えた
驚きからか、眼が見開かれたように見えた
次の瞬間
「あっ!」
龍が手に持っていた珠がこぼれ落ちた
「いけない?」
何故そう思ったのか分からないが、頭で考えるより先に身体が動いた
珠を割ってはいけない!
手を伸ばし珠を受け止めようと走る
龍も落とした珠を拾おうとしているのか、急ぎ下降を始める
珠が地上に落ちる寸前、瞳子の手が届いたかと思った
間に合わなかった?
珠は指先に触れただけだった、が
「え?」
珠は瞳子の指先に触れた状態で留まった
珠は光状に蕩け、指先から瞳子に吸収されていく
「何?、どうなっているの?」
拒絶も出来ない
珠は既に形状を保たず、全てが瞳子に取り込まれた
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