アーリアスティの地へ

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意を決して瞳子は眼を開けてみた しかし、 「ここは、何処?」 そこは見たことのない部屋だった 横になっているのもいつものベットではなく木製の簡易な物で、布団は大きな布が掛けられているだけ 自分の家ではない そもそも、家に老人と小さな子供は居ない なら考えられるのは、何等かの事情で川かなにかに流されて、流れ着いた所の近所の家に運ばれ寝ていた? それなら分かる 「ああ、眼が開いたよ」 さっきの子供の声がした 「マーロン、この人起きましたよ」 見ると、猫耳のカチューシャを着けた小学生低学年くらいの男の子が覗きこんでいた 腰近くまである癖のある長い絹鼠の髪はかつらなのかな? お洒落な子か、と思ったが後ろを向いたらなんと猫尻尾まで着けていた 「コスプレっ子?」 そう思った時、見間違いでなければ尻尾が自在に動いているように見えた 「?こういう玩具も出たのかな?」 「具合いはどうじゃ?」 なんとか上体を起こした瞳子に、白銀の髪をきっちり纏めた矍鑠とした老婆が話しかけた 此方も、何処か違和感がある服だ 黒を基調としているが、どんな裁断をされているのか検討がつかない 持っている杖も湾曲した木製 まるで西洋の魔女のようだ     
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