あなたと一緒に

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私は思い出した。 -あれはね、私が一人で帰りづらかったからなの。 私は、恩人なんかじゃない。 僕はすい臓がんだった。もう長くは生きられない。でももう一度でいいから、彼女に会いたい。その思いで僕は病院生活ではなく普通の生活を選んだ。そしたら奇跡が起こった。彼女が本屋に現れたのだ。 -健さん、私にとっての救世主はあなたなの。 僕はある小説を信じている。 それは彼女と話すきっかけになった最初の本。 -真夜中のデート。 その物語は、亡くなってしまった夫が深夜の2時になると妻の前に現れるという話 私は辺りを見渡した。 -どこにも、、いないよ。。 泣き崩れていると、聞きなれた声が聞こえた。 -泣かないで。 -健さん! 振り返ると彼がそこに立っていた。 -本当に、、健さん、、なの? -そうだよ。もう生きてはいないけどね。でも本当になったね。実写化だよ! 彼はいなくなってからも私を励まそうとしてくれた。 それだけでまた胸が苦しくなった。 -私小説読んだよ。 -まだ完結してないんだよな~。 -行く。私も健さんのところに行く。 彼はいつものような笑顔ではなく、少し儚げな顔を見せた。 -小説ちゃんと読んだの? -読んだよ。 そう言うと彼は最後のページを開いて私に見せた。 -
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