封印されし大学ノートの事

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 不安はあれども面倒くさいが勝った場合、まぁ急用ならまた掛かって来るだろう、などと着信履歴は容赦なくデリートするだろう。  不安はともかく今特に何も用事がなくて、何だろうな母よ、という好奇心が勝てばすぐにでも折り返して電話してみたりする。  今回は、好奇心の方が勝った。俺は、小さく舌打ちをしながらも電車を待つ間に母親の……よく見たらこれ固定電話じゃねぇかおい、と気づくのが遅く、2コール目には電話は実家に繋がっているのだった。 「ともちゃん?」 「おぅ、オレだオレ」  実家の電話、ナンバーディスプレイ対応だったかなぁ?てか、俺の携帯端末番号、覚えてるんだろうか母よ? 「声がお父さんそっくり」 「そうかぁ、オレ結構声色が高くて可愛いって評判なんだけど」 「お父さんの声は可愛い方だと母は思っていますよ」 「そうですかハハよ、で、何よ?」  このオレは、この母にして在り、だよなぁ。俺は、抑揚無く母の惚気を躱し、どうやら用事はどうでもいい事らしいと察していながらも何の用かと聞いてみた。 「あ、今度ね、町内の公民館の建て替えが決まったの」 「は?」 「だから公民館の建て替え!今もう壊す為に荷物の整理とかして町内の人達で、手分けして預かる事になったんだけど」 「……はあ」     
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