封印されし大学ノートの事

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 もうすでに止められない流れだ、と言う事は察しているんだが、はいはいどうぞというワケにも行かない事情もある。当然だろう、元俺の部屋だぞ?こっちに持ってこれなかった趣味のお宝がわんさか積まれている部屋だぞ?使う予定は無いから俺の趣味倉庫として使う約束をしっかり取り決めていたはずの部屋なんだぞ?  しかしてこういう母親の性格を察している俺は、一応部屋中に貼っていたポスター類は剥いでおいたし、フィギュアやプラモデル等は劣化しないように箱に仕舞ってさらに段ボールなどに積めてある。漫画類も、捨てられないようにしっかり整理して表題つけて積んでおいた。  一般人から突然踏み込まれても、一見オタク趣味の巣窟とは分からない様にはしておいたはずだ。  だがしかしだ。  問題はオタク趣味がどーこーという話ではないのだ。  漫画やプラモやフィギュアなど、グッズ類などいくら見られても別に困らない。  困るのは、人目についてヤバいのは一般アイテムの中にこっそり忍ばせてある俺のマストでフェイバリットな非一般向けの『同人誌』という奴だ。  同人誌というのはな……商業システムに乗る事が無い、然るべき時に、然るべき場所で、一期一会に出会うことが出来る薄くて高くて時に非合法にエロかったりしたり、しなかったりする本の事だ。  残念ながらすべてを手元に置く事は敵わず、ましてや売り払う事も出来ない。俺がそれをしたくない。  あと、一番まずいのは……今になって思えばこれこそ、捨てればよかったのだが……。     
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