封印されし大学ノートの事

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 封印されし大学ノート、……と、厨二病よろしく書いてある。何冊かある様だ、これは一体なんだったかと記憶をたどり……ああ、そうか中学生時代の『あれ』か、と思い当たった。  まさしくこれは中学二年生の頃作った、厨二病を拗らせた……売れ残りの同人誌よりも危険なブツである事を思い出して……そうして、俺はちょっとだけ愕然としたな。  『あの事』を、俺は今このノートがある事を記録として目にするまで見事に忘れていた。  当時、『この事』は生涯忘れる事は無いだろう、そう思っていた事だって昨日の事のように思い出せるのに、実際昨日までは『この事』を忘れていたんだ。  忘れる事なんて無いだろう、そう思いながらも俺は当時、『あの事』を日記に綴って残すことにしたんだ。几帳面だろう俺?  封印されし大学ノートとは、その日記だ。  あの時、何が起きたのかを割と几帳面な俺が綴って残した……。  お茶を満喫した俺は、何気なく半分仮公民館となった元部屋に戻り、割と奥の方にあった目的の箱を引っ張り出して……封を解いていた。パンチで穴あけて綴りヒモで結わえてあるノート群はすぐにも見つかった。そう、これくらいなら……持って帰ってもいい。俺は、唐突にそう思ったのだ。開けたダンボールは元通り封をして再び奥へと押しこめて元通りに積み上げる。  すぐにも確保しておいた紙袋に包み、バックの奥底へ沈める。     
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