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蛍のかすかな軌跡を追いかけて、夏の夜空を見上げた。
「遼ちゃん。……あれ、なんていう星座だっけ?」
指さした私の、その先を見つめて、遼太郎が答える。
「あれはカシオペアと、それから白鳥座……あとは……」
その低い声に誘われるようにもう一度星を見上げて、それからこっそりと遼太郎の横顔を見つめる。
知っている星座の名前を尋ねる必要はないのだけれど、その横顔を見つめていられるのなら、空いっぱいの星の名前を端から全部、ずっと読み上げていてほしいくらいだ。
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