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あの頃の私は、簡単に言うと、心がやられてた。
自分の真ん中にあった一本の大きな幹が、完全にぽきっと折れてしまっていたみたいに。
大きな失敗により自信を喪失して…自分を取り戻したくて、必死にもがいて。
それでも、家に帰って一人きりになると、悪い考えしか浮かばなかった。
なんとか、月曜から金曜まで笑顔をはりつけて頑張ったけど、
会社を出る頃には電車にも乗らず、フラフラといつもは通らない道を歩いて、家に向かう方向だけは間違わないように意識して、
何の感情ももたないまま二駅分を歩き続けた。
仕事の疲れじゃなくて、心が疲れていたんだろう。
友達にもまだ相談出来るような状況ではなかった。
まるで自分を見失ったようで、そんな時に人と会っても私がその人にとって別人のように映るだけだと思ったのだ。
こんなのは自分じゃない、だから、元の自分に戻れるようにしなくちゃ。
早く、元通りに…そのことだけに必死だった。
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