3.ぼくは、ベア

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なんか、ベアに全部知られていたかと思うと、癪に障る・・・と思ったのに 奴は、バカにすることなく、全部を知ってても変わらない態度に 私はなぜだか、ほっとしたのだ。 「・・・たぶん、それ私です。泣いてたこと、知られてたの、マスターだけじゃなかったのは、恥ずかしいですが。」 当然ながら、気まずさMAXだ。それでも、まぁ、なんとなくベアだったので、まいっか。という気分になるのが不思議である。 「全然だよ~僕なんか、しょっちゅう泣いている。動画で映画観ても、友達の結婚式でも、小さい子供のおつかいとか・・・きりがないくらい!」 満面の笑みで、堂々と情報を曝け出すベア。 まあ、ベアっぽい。この人は何でも感動しそうだ。 「植ちゃんは、頑張り屋さんなんだよ。一生懸命仕事したから、そういう感情が溢れたんじゃない?それは、恥ずかしいことでも何でもない。カッコいいことだよ!」 だって、手を抜いてたら、そんな風に悲しかったり、悔しかったりくないでしょ? 本気でやった証拠じゃない。 そういう人は、なかなかいないよ。 とっても素敵なことだと思うな。ぼくは。 そんな言葉をくれたベアは、さっきまでの微笑みよりずっと深い笑みで、優しい眼差しがキラキラして見えた。 なんで、分かってくれるんだろう。 初対面といってもいいぐらいなのに・・・ それでも、ベアの言葉には嘘はない気がした。 全くといっていいほどの赤の他人。 たまたま、同じカフェに出くわした客同士という関係性。 偶然でしかないのに。 うっかりとでも言おうか。 これがきっかけで、ベアと私は、先の見えない流れに乗っていく。 ほんと、人生はわからない。
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