前夜

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前夜

毎日、朝日が昇り朝が来る 定時にアラームがなり なんの変哲もないルーティンがはじまる いつからだろう 朝ご飯が牛乳を入れただけのコーンフレークになったのは いつからだろう昼飯がコンビニ弁当になったのは いつからだろう 健康第一と言う呪文が耳からはなれず ビタミン剤を飲み初めたのは 会社にいく道のりで色んな人とすれ違う 上京したての頃は、田舎ものだとバレたくないと 人の目を気にしていた スーツが高校の制服の様に日常に変わったころから 毎日、すれ違う人の顔もわからなくなった いつかこの街で結婚するんだと 胸を高鳴らせたあの頃 今、鳴ってるのは仕事の電話だけだ 心を殺し心を込めて謝罪する 地面を見た回数なんて覚えてない 学生時代、友達の友達と友達になれたら 世界が広がった気がした 今は、手元のスマホで今日夜を共にする 女性を検索している 指先のタップ一つで 温もりが手に入るなんて便利な世の中になった 時代の発展よ感謝だ テレビをつけなくても手元に写し出される ド素人のアイドル達は見ず知らずの僕に 愛嬌を振りまき小銭を稼ぐ 画面を横切るコメント達 舌は、まわらないがコメントは冗舌 いつからこんなにキラキラした言葉を うてる様になったのか 少し高めのマンションの窓から見える風景 月明かりに負けないビル群の光を見て悟る あ。俺、大人になったんだ
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