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いつもより弱い力で抱き締めてくる社長は本当に体調が悪そうで、長く息を吐くと私の額に自分の額を合わせてきた。
唇が触れそうなほど近いのに社長は、ぼんやりとした瞳で私を見つめてくる。
「・・・・・・仕事中は個人的な感情を挟んではいけないのに・・・」
「はい?」
「貴方にかなりの量の仕事を任せたのは確かに忙しかったからと言うのもあります。だけど、一番は・・・」
絶妙な所で言葉を切ったので不思議に思っていると社長は優しく微笑み顔を近付けてきた。
思わず身体を押し返すと・・・
「一番は貴方を他の人の所に行かせるのが嫌だったからなんです」
「あ、あの・・・・・・もう、帰らないと・・・!」
あまりに近過ぎる距離に耐え切れず顔を逸らし帰ろうとしたが後ろから腕を掴まれ呆気なく抱き締められてしまう。
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