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「もう、帰りますね」
「芽衣さん?ちょっ・・・待っ・・・・・・」
バックを手に急いで部屋を出ると後ろから何度か名前を呼ばれたが私は必死に涙を流さぬように暗い廊下を走った。
社長の好きが甘えの好きなら私の気持ちは、ただの母性本能なんだろうか。
だったら、社長は私の事を何だと思っているの?
秘書、なら良かったのに。そう思ってくれていたら直ぐに気持ちを切り替えられたのに、あんな風に好きなんて言われたら勘違いしそうになってしまう。
私の事を本気で好きなんじゃないかって。そんな事、有り得ないのに。
明日になれば、ただの社長と秘書。
大きく息を吸うと乱れていた心臓が落ち着くのが分かり、もう一度息を吸いながら頭の中に刻み込んだ。
「・・・私と社長はただの上司と部下。」
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