1/1
前へ
/43ページ
次へ

告別式までの四日間、どうやって過ごしたのか記憶になかった。 ただ、どんな時でも人間どうにか生活出来るもんなんだなぁと、頭の片隅で思っていた。 時は流れていく 朝が来て、夜になって、また夜が明ける。 でも、俺の頭の中と心の中は、ずっとあれから止まったままで、なにも動き出さない。 不思議だった。 みんな当たり前のように、俺と千波は付き合っている前提で話してくる。 当たり前のように、千波が俺を待っていたと言う。 当たり前のように、俺に会いたがっていたと言う。 なぜだ…… 1年前に、俺は千波に別れを告げられて 好きな人が出来たからと… 一緒にフランスに行くからと… そこで、一緒に暮らすからと… それから、電話もラインもメールも繋がらなくて 俺は、諦めるしかなかった。 なのに、なぜ…… 千波は、本当は、ずっと闘病していて…… 俺はなんで信じてしまったんだろう なんで見抜けなかったんだろう あんな嘘を どうして手放してしまったんだろう どうして追いかけなかったんだろう あの時、どうして…… ごめん、ちな 一緒に居てやれなくて…… ごめん…… ごめん…… ごめん……
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91人が本棚に入れています
本棚に追加