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大学を卒業して6年。
久しぶりの再会にも関わらず、集まった理由が理由だけに、皆の口は重く閉ざされていた。
きっと、俺への気遣いもあったんだろう。
そんな空気の中、早希が話し始める。
「岩永くん、ごめんな。知らせんで……」
「……」
「千波、最後まで前向きに頑張っとったよ」
「……」
「でもな、岩永くんに会ったら甘えてしまいそうだからって、口止めされててな……。
だから、高橋くんにも、佐伯くんにも知らせられへんで、ほんとごめんな」
「……うん」
去年の秋だった、千波に別れを告げられたのは。
それは、俺にとって、本当に突然の事だった。
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