第12章:火種

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○蓮紫楼 座敷(夜)   大勢の男たちが集まり、宴が始まろうとしている。 組合長「えー。皆様。先日はお疲れ様でした。優駿先生のチラシのおかげさまで、大変な盛況ぶりで。売り上げの方も目覚しいものがありました。これもひとえに皆様の日頃の精進の賜物と思っております。伊勢崎に追いつき追い越し、悲願の日本一となるのも、時間の問題でございましょう。私はもう、嬉しくて嬉しくて。」 組合の男1「わーった。わーった。口上はいいから早く始めんべ。」 組合の男2「そうだ、そうだ。」 組合の男3「料理が不味くなっちまわぁ。」   組合長、咳払いをする。 組合長「では、最後に一言。今回の特売会を思いつき、百貨店との折衝および優駿先生や立花しのぶ嬢の起用に多大なるご尽力を下さった寺門甚峰先生に拍手を。」   組合長、拍手をする。   男たち、拍手をする。   甚三郎、満足そうに微笑む。 組合長「では。今夜は大いに楽しみましょう。かんぱーいっ!」 男たち「かんぱーいっ!」 女性の声「失礼いたします。」   襖が開けられる。
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