あと何回

2/2
前へ
/2ページ
次へ
夜中にふと目が覚める。 隣で寝ている妻の手に触れる。 温かい。 ふと思った。 いつの日か、冷たい手を触らなければいけない日が来るのだと。 死は誰にでも平等で、だから、冷たい手に触れずに済むとすれば、それは僕が先に死んだ場合のことだ。 冷たい手に触れたくはない、だけれども、冷たい手に触れずに済むということはもっとしたくはない。 いつの日か、冷たい手に触れなければいけない日が来る。それを思うと、挫けそうになる。 けれども、少しでも長生きをしよう。 僕はあと何回、妻の温かい手に触れることができるのだろうか。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加