呪われた学園に入学しました。前編

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棗と宙也が学園中央にある屋上型テラスにやってくるとすでに人の姿がある 「お、タクト早いな」 二人に気がつくと白髪の青年が振り向く 「あれ?俺たちより遅く出なかった?」 「そんなことありませんよ」 「タクトは近道通ってるから早いんだよ」 「え?何それ…」 棗の言葉に眉を潜める宙也 「三島先輩は一緒じゃないんですか?先輩たちより先に出ましたよね?」 「あー……ぷっ!」 あはははっと先ほどの三島の様子を思い出して笑い始める宙也 「校門前で生徒会に捕まってたから置いてきた」 「いつものことですね」 その様子を想像してほくそ笑むタクト 部屋の奥にある階段から勢いよく駆け上がってくる足音が響いてくる 「お前ら!さっきはよくも俺を見捨てたな!」 テラスに入るドアを勢いよく開けると同時に叫ぶ三島 「おーやっときた」 三島がニヤニヤしながらこちらを見ている棗と宙也に近づき睨む 「すんげー怒られたんだからな!お前らの分も!」 「んーそうかそうか」 「健ちゃんエライエライ。時間稼ぎサンキューね」 「おかげで助かった」 ポンポンと二人が三島の肩を叩く 「おまえらなぁ!!」 三島が怒って叫ぶと二人が笑いながら逃げていく 「三島先輩おはようございます」 「うお!」 怒っていて棗と宙也しか目に入っていなかったのか後ろから急に声を掛けられ驚き顔を引きつらせる 「お、おはよう…タクト…」 「…くっ…」 口に手を当てて声を押し殺したようにクスクス笑うタクトにまたイラつく三島 「俺の反応みて喜ぶな…殴るぞ」 「可愛い後輩を殴るなんて暴力的ですね」 「お前は全然可愛くない!」 「いいんですよ強がらなくても」 「ああぁ?!」 怒った三島の反応にまたクスクス笑うタクト 暫くすると入学式を終えた一年生たちが体育館から校庭にぞろぞろと出てくる 「お、出てきた」 窓の外を見ていた棗と宙也が手招きして二人を呼ぶ 「いやー初々しいなー」 「懐かしいですね」 「そろそろ行こう…」 三島が三人に声を掛けると荷物を持ってテラスを後にする
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