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テケモンは、溜め息混じりに言う。
しかし、それがディーラーやゴロツキどもの怒りを煽る事になった。
そのテケモンの言葉に怒りを覚えたゴロツキどもが、剣や斧を手にテケモンへと襲い掛かる。
だが、テケモンに一分も焦りはない。
ただ、腰に手を当てて迎え撃つーー。
しかし、それは迎撃の体勢ではなかった....テケモンはゴロツキ達とディーラーに向けて一喝した。
「この愚か者どもよ!
汝らに恥じ入る心はないのか!?」
気迫を込めた一声。
そして、それと同時に抜き身の名刀というべき股間に、念が集約する。
次の瞬間、テケモンの名刀が眩い光を放った。
(あ......あれはまさか、王者の紋章なのか!?)
女を侍らせながら、様子を伺っていた男ギャルソン・パコルスは、呆然とその光景を見守る。
さっきまでテケモンという名の全裸男を、殺そうとしていた者が、罪を認め敬服する姿。
それは神々しくも、異様な光景だった。
ブリサバも、その光景を見て呆気にとられながら佇む。
(あの予言は真実だったというのか....?
いや、それはいい....それはいいのだが何故、王者の紋章があんな所についているんだ!?)
ギャルソンとは違う意味で、異様なものを目の当たりにし、ブリサバは柄にもなく色々な意味で戸惑っていた。
だが、何にせよ血を流さずに、この場を治めたテケモンのお手並みは、褒め称えるべき所業である事に間違いはあるまい。
ブリサバはテケモンの所へと、ゆっくりと歩み寄る。
「まさか、聖王なんてものが本当にいるとはな?
正直、驚いたぞーー。」
「此方こそ、驚き申した。
よもや、このような時代に貴殿のような義の者に、合間見えようとは....。」
「そんな大層なものではない。
ただ単に賭け事をするのに、憂いとなる要素は無くしておきたかっただけだ。
それはそうと、その立派な宝剣はそろそろ隠してはどうだ....服も戻ってきた事だしな?」
「おぉ....これは失礼ーー。
今すぐに、服を着るので暫し、お待ちを?」
テケモンはいそいそと、衣服と鎧を纏う。
だが戻ってきたのは、服だけではなかった。
テケモンに従属したディーラーの一味は、今後イカサマをしない事を誓い、テケモンに本日の売上の全てを渡してきたのである。
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