聖王テケモン・ブランク

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(ふむ、これが戦王の支配する街というものか?) 男は周囲の風景を物珍しい表情で、見据える。 白き鎧を纏う金髪碧眼の男。 男の名はテケモン・ブランクといった。 そして、またの名を聖王テケモン。 彼は世界を戦乱の運命から、救うとされる予言の勇者。 王者の紋章をその身に宿す、王の中の王となる運命を持つ者だった。 テケモンは戦王達により滅ぼされた王国の子孫である。 父は亡国の王子であり、王国の復興と平和な世界を望みながら、病により他界した。 テケモンは、そんな父の思いと予言の勇者という使命を、背負い旅立ったのである。 だが、初めての旅故、それは過酷な旅路となった。 数週間の野宿の結果、食料は底を尽き..野獣を狩りながら街か村を目指す事となったのだが....。 進んでも進んでも、辿り着くのは滅びた街や村のみ。 そして、遭遇するのは白骨死体か獰猛な野生動物のみであった。 そんな中でもテケモンにとって一番厄介だったのは、野生動物リデルゲゴドンである。 リデルゲゴドンとは体長十メートル程はあろう背中から、磯巾着のような触手を生やした巨大トカゲの一種なのだがーー。 その性質は巨大な上に狂暴、更に群れで狩りをする為、遭遇したらまず逃げられない。 テケモンは野宿の間、リデルゲゴドンに三度遭遇し、三度目にして窮地に陥った。 それは衣類の洗濯と体を洗う為に、湖を訪れた時の事である。 テケモンが体を洗っていた最中、一匹のリデルゲゴドンに遭遇した。 当然といえば当然だが、テケモンは衣類を纏っておらず全裸の状態。 しかも、手元に有るのは鞘に収まった剣一つのみ。 テケモンは急ぎ、宝剣デザイモンドの柄に手を伸ばした。 その直後、リデルゲゴドンの触手がテケモンに向けて降り注ぐ。 だが、テケモンはその触手を一刀のもとに切り落とし、続け様にリデルゲゴドンの首を切り飛ばした。 しかし、絶命したと思われたリデルゲゴドンは、頭部のみの状態で仲間を呼ぶべく、断末魔の叫びを放つ。 それより僅か数秒、数十体のリデルゲゴドンがテケモンの前に出現する。 (むむ....流石にこれは厄介だな....。) テケモンは、冷静に周囲を見渡した。 それはリデルゲゴドンの動きを把握する為でもあるが同時に、リデルゲゴドンを威嚇し動きを制限する目的も兼ねていたのである。
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