聖王テケモン・ブランク

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僅か数秒の沈黙が流れ、痺れを切らしたリデルゲゴドンの一匹が、雄叫びを上げた。 その雄叫びを合図に数十のリデルゲゴドンが、一斉にテケモンに襲い掛かる。 だが、テケモンは数十のリデルゲゴドンが動き出すより先に動いていた。 三重の斬撃により、手前三匹の頭部を切り落とし一気に駆け抜ける。 前面より更に四匹のリデルゲゴドンが現れるが、テケモンは雷をイメージし、念術によって生み出した雷撃を四匹に向けて放つ。 その直後、四匹の断末魔の叫びが響き渡るが巨体でありながら、俊敏に動くリデルゲゴドンの群れを相手に順調に行く筈もない。 テケモンが状況を把握する為に再度、周囲を確認した瞬間、リデルゲゴドンの触手の一本がテケモンの右足を捉えた。 (くっ....しまった!) テケモンは即座に触手を切り落とすが、リデルゲゴドンの群れが、その隙を逃す筈もなく、次々と放たれた触手がテケモンを拘束する。 全身を触手によって拘束された体は指一本すら、まともに動かせない状況。 そして、リデルゲゴドン達がテケモンの体を噛みちぎらんと、一斉に口を開けた。 生身でリデルゲゴドンに噛み付かれたら、間違いなく致命傷....確実に命を落とす。 まさに万事休すというべき状況だった。 (くっ....余は誓いも果たせず、ここで散り行く定めなのかーー!?) テケモンは今にも襲い掛からんとする、リデルゲゴドンの群れを睨み付ける。 だが、それと同時にテケモンの中で一つの覚悟が決まった。 如何なる状況にあろうと、自分は王の誇りと共にあろうとーー。 「我が名はテケモン・ブランク! 王の中の王にして、戦乱を終わらせる勇者なり!」 テケモンの体を喰い千切らんと、リデルゲゴドン達が飛び掛かる。 しかし、その瞬間、テケモンの股間が光を放つ。 「こっ....これは!?」 テケモンは我が身より放たれし、光の出所を確認する。 それはテケモンの身に宿りし、王者の紋章から放たれし輝き。 自前の名刀より、生まれ出たる光だった。 そして、その光を浴びたリデルゲゴドン達の内から、敵意は消えテケモンの前に伏せる。 人でいうならば、それは平伏に他ならなかった。 こうしてリデルゲゴドン達を屈服させたテケモンは、リデルゲゴドンの案内のもと無事に街へと辿り着いたのである。 しかし、テケモンの苦難はそれで終わらなかった。
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