聖王テケモン・ブランク

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都市ムルゾーに辿り着いたは良いが、手持ちの貨幣が使えず換金が必要となったのである。 だが、問題が一つ。 換金の方法が分からなかったのである。 それも当然だった。 テケモンにとって、これが初めての旅。 その勝手が、分からなかったのは当然の事だ。 (さて....どうしたものか?) テケモンは悩みに悩んだ挙げ句、露店を構える行商に聞く事した。 一店一店、行商に尋ねるテケモン。 だが、「買わねえ奴は客じゃねぇ!」とか「知るかよ、んなもん!」とか心無い答えばかりが返ってくるーー。 しかし、そのような中ある親切な行商が、快く換金してくれる事になったのだが...。 その結果、行商の男はテケモンの財産の殆どを持ってトンズラ。 途方に暮れているている所を、賭博場の呼び込みに声をかけられたのだった。 路銀の工面に頭を悩ませていた直後だけに、天の助けだと感じたテケモンは、その誘いに乗ったのである。 そして、国宝にして父の形見の剣と鎧を担保にテケモンは、賭博を開始した。 絶対に勝てると信じてーー。 そして、テケモンは選択する。 シンプルなカードゲーム、キングオブキングスをーー。 (ふむ、聖王か良い感じだ。 これならば勝てよう。) テケモンは勝ちを確信した。 キングオブキングスは、十二枚のカードで構成されたカードゲームである。 聖王、 無欠の戦王、死黒の戦王、無刃の戦王、氷結の戦王、紅蓮の戦王、傀儡の戦王、不死の戦王、無型の剣豪、漆黒の暗術師、純白の医術師、稀代の予言者セリの順に強いカードとなるのだがーー。 最強のカードである聖王が唯一勝てないカードが、最弱のカードである稀代の予言者セリである。 何故かというと稀代の予言者セリのみ、予言の内容を書き換える事が出来るからーーというのが、その理由らしい。 そして、カードの性質上、このゲームは二人で行うものとなる。 つまり、この場合ディーラーと客の勝負となる訳だ。 カードは最大三回まで交換可能。 自分が一番、自信のあるカードで勝負するというものである。 当然、聖王を引いているのだから、テケモンは手持ちのチップを全部賭け、カードを交換する事なく勝負に打って出た。
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