2.ヨッシー参戦

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2.ヨッシー参戦

 バイトを終えたヨッシーが、コンビニ弁当の袋を下げてリョウの部屋を訪れたのは、午後11時を少し回った頃だった。 「遅くなってゴメン。客が途切れなくてさ、30分も残業させられたよ」  ヨッシーは大学近くのファーストフード店で働いていた。 「これが『メイク・シティ』か。CGは結構チャチな造りだな。ファミコン時代のテレビゲームみたいだ」  ヨッシーは画面を覗き込んで言った。 「でも、中身は凄いぜ。結局、昨日から造ってた街は破綻したんで、夕方から新しい街を造っているところだ。まだ、4年目だから、小さい村だけど」  ヨッシーはカッターシャツの胸ポケットからマルボロを1本取り出し、口にくわえた。 「4年?」 「ああ、ノーマルの状態だと、ゲームの1年はだいたい1時間なんだ。15分ごとに季節が変わる」 「最初は?」 「人口が1人、建物は村役場庁舎だけ、というところからスタートさ」 「プレーヤーが村長なのか」 「村長というより、王様に近いな。街の予算を全部自由に使える絶対権力者さ」 「今は…、人口が1200人、歳入が12億円、歳出が11億円、起債残高…、ああ借金のことか、それが8億円か。これって順調なのか」 「まあまあだな。借金の返済額がどんと増えてくるのは3、4年あとだから、それまでに歳入を増やしておくよ」 「借金を返せなくなったら?」 「ゲームオーバーだ」 「終了の決まりはそれだけか」 「強制的に終了となるのは、それだけだ。でも、人口が減り続けて、街の縮小が止まらなくなったら、リセットしちゃうな」  ヨッシーは興味深そうに何度も頷いた。 「リョウの村には何があるんだ」  リョウは地図の一部をクリックして、村勢概要という項目を引っ張り出した。 「世帯数は880。株式会社が13社。個人事業主、ほとんどが商店だけど、それが5つ。学校は2つ。警察の駐在所や消防署もあるよ」 「かわいらしい村だな。でも、ただ村を作っていくだけなのか、何かイベントは起こらないの?」  ヨッシーの質問に、リョウは目を輝かせた。 「それさ、それがこのゲームの本当に凄いところなんだ。まあ、これを見てくれよ」  そう言って、リョウはゲーム画面上の住宅と思われる一軒をクリックした。
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