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「そうだ。それで今宮廷は大賑わいなのだが。私を通して君に目通り叶いたいと。御息女からだ」
うへあ。勘弁して欲しい。
「何故私なのかと思ったが、君を見て合点がいった。そうだ、さっき気が付いた。遺憾ながら、君は我が義息ではないか」
今まで気付かなかったんですか義父上。
「向こうの魂胆は解らないが、よもや断るまいな。くれぐれも粗相のないように。私の馬を貸してやろう。誰か有る!私の馬を持ってこい!」
若い騎士が馬の支度を始めたい。あー。行きたくねえな。でも親父さんの顔が立たない。
行かないわけにはいかなかった。
無骨な黒毛の馬は、何というかいきり立っている。何をそんなに興奮してるんだ?
王宮に置いていったリーゼロッテは、
「では、いってらっしゃいませ。今の所は及第です」
最後にボソッと付け足した。まだ狙ってるのか。妾筆頭の地位。
ないよ。おれほんと奥さん一筋だから。
馬は苦手だった。どうにも様にならない。
公爵の館は、広大というか無骨というか、砦のようだった。
家令の先導で、館の奥に進んでいく。
一際大きな扉の前で放り出された。
扉を開けた。
「すいません。失礼しました」
踵を返してダッシュ。鍵がかかっていた。
開いてええええええええ!
何してんの家令貴様あああ!
部屋の上座にはソファーがあり、ソファーにはゴージャス美人が座っていて、彼女はすけすけのローブを着ていて、恐ろしいことにローブしか着ていなかった。
美人が立ち上がってローブを脱いで座り直した。
並ぶ者のいない、他の追随を許さぬ大貴族の娘、マルガレーテ・エリュシダールは、一言で言うと、真っ裸だった。
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