8人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
ハートオブサンライズの照射の余波で、肉体の疲労はピークに達していた。
超魔王を倒した後の心地よい疲労の中にいた。
「見ろ。崩れるぞ」
魔王が言った。要塞の崩壊が進んでいた。
「かくのごとくに滅ぶのだ。超魔王であれ誰であれ、永遠にあり続けることはできん」
ふわり。暖かい感触が魔王を包み込んだ。
ジョナサンが、肩に手を回したのだった。
ジョナサンの顔が、すぐ近くにあった。魔王を見つめるジョナサンの瞳は、夜明けの光を受け、いよいよ輝きを増していた。
「よせ。もう夜明けだぞ」
魔王は視線を逸らした。その頬は、かつて二人をかばって倒れた妖精王エルディラの頬と同じくらい、赤く染まっていた。
「もういいよ。俺の答えは決まっている」
ジョナサンは魔王を熱く見つめた。魔王の心臓は高鳴り続けている。
ジョナサンの指が、魔王の艶やかな黒髪を撫でた。
「みんなが見ているではないか」
「なら見せつけてやろうぜ。お前のハートオブサンライズ、見せてみろよ」
そう言って、ジョナサンは魔王を押し倒した。
なすすべなく転んだ魔王。ふんわりとした草の感触。
「よせ勇者。ーー痛いではないか」
両手を掴んだジョナサンの力は強く優しく、
最初のコメントを投稿しよう!