馬車は揺れるよどこまでも

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さながら白鳥の翼の様に魔王を包み込んだ。 「超魔王を倒した時、俺の心は決まったんだ魔王。俺は、お前だけの勇者でいたい」 魔王は抵抗しなかった。 ジョナサンの顔が、魔王に近づいて行き、 「馬鹿かああああああああ?!」 魔王が、渡された本を床に叩きつけた。 「貴様の脳味噌はどうなっているのだ!ダインクーガーとは何か?!超魔王とは?!」 「馬鹿とはなんですの?!ダインクーガーは復活した超魔王の機動空中要塞ですわ!」 「だから超魔王とは何かと聞いているのだ!」 「だーかーらー、ちゃんと読んでくださいな!超魔王は金色のミイラが闇のダイヤの力で復活した、魔王を凌駕する存在ですのよ!折角の神展開にぜひ最初の読者として貴方を指名して差し上げたのに、その態度はなんですの?!」 アリエール・リトバールは、完全に方向性を見失っていた。 ベストセラー作家の一員になったアリエールは、その崩壊した精神からひり出した最新作、勇者ジョナサン・エルネストと金色のミイラのゲラ刷を、事もあろうに魔王その人に手渡し、帯にレビューの執筆を求めたのだった。 「私はな、魔王として君臨するにあたって、二つのことを禁止したのだ。
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