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もちろん、月の表側でも地球からの照り返しが有るから裏側よりマシとは言え、どの時間帯に、どの程度の太陽光を得られるかは、結構ややこしく、基地・居留地の維持には大型・大容量の蓄電池は必須で、将来的には別の発電方式を併用する必要が有る。
その結果起きたのが、どう云う訳か「収賄」だ。
月面での実運用の目処すら立っていない「核分裂系の原子炉」と「核融合系の原子炉」の売り込み合戦が始まり、気付いた時には、地球に居る国際月面開発事業団の理事達のスーツや自家用車や自宅や御贔屓のレストランやら売春夫または売春婦やらが、少し前より数ランク高級なモノになり、技術者達は、実現可能なものより明らかに何桁も多い「一〇年後の月面上の電力供給予想」を元に月面開発計画を立案する羽目になり、あれよあれよと言う間に月面開発全体がズブの素人が見ても「何かが狂っている」としか思えないモノに成り果て、私は、その状況を見て、父方の祖父母の若い頃の思い出話……世にも馬鹿げた政治腐敗を切っ掛けに、祖父母の祖国が、たった5年で先進国の座から転げ落ちた、と云う話を思い出した。
そして、当然ながらと言うべきか、遅まきながらと言うべきか、刑事司法が動き出す事になった。
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