失なわれし夜

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 私は、彼女の指示に従って、原子力電池を分解した。 「な……何をしてるんですか?」 「昔の恋人が言うには、このタイプの原子力電池は、放射性物質が出す放射線を、一旦、蛍光物質で可視光に変えた後に、光学電池で電力を作るモノだそうだ」 「光学電池?」 「要はコレだよ」  そう言って、私は、原子力電池の中から太陽電池にしか見えないモノを取り出した。  まぁ、太陽電池にしか見えないのは当然で、「光学電池」と呼ばれているモノの内、太陽光で発電しているモノを「太陽電池」と呼んでいるだけだ。そして、この原子力電池に使われている光学電池は、早い話が一般的な太陽電池と同じ規格のモノだ。太陽の光を当てれば、普通に電力を発生させてくれる。  そして、私は、原子力電池から取り出した光学電池を、月面車の屋根の上に固定する。この型式の月面車は、一次電源を用途や状況に応じて変更する事が出来る。だからこそ、一旦、電力を蓄電池(バッテリー)に蓄えるような設計になっているのだ。そして、使用可能な一次電源の中には太陽電池も含まれる。 続いて、私は応急修理用の電線で、屋根の光学電池と蓄電池(バッテリー)を繋いだ。 「でも 、肝心の太陽光が無いですよね」
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