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青年の姓は琳、名は翠巒。
彼は、天の祝福を受けた人間だった。
何をするでなくただ居るだけで人を癒すこともあれば、卓越した知識と技術で村一つを救うこともあった。
そんな彼がなぜ龍苑寺を訪れたのか、今となっては知る者はない。わかっているのは、彼が龍苑寺で多くの者に学問を教えていたこと。そして、彼の教え子達が後に、「金色の世」と称される時代を作り上げたこと。
大人達は専ら、この話を教訓めかして子供達に聞かせたがったが、子供達が請うのはいつも、もう一つの話だった。
それは、翠巒と龍の話。
龍が翠巒に出逢うところから、この話は始まる。
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