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龍が見守るもとで、翠巒は、こつこつと寺を直していった。そしていつからか、その周りに、ぽつりぽつりと人が集まってきた。彼らは皆、山の麓の村の者である。
よそ者を追い出しに来た者から、興味本位で覗きに来た者まで、翠巒のところに来た理由はそれぞれであったが、ある者はその玲瓏たる声に、ある者はその清澄たる瞳に惹きつけられ、二言三言言葉を交わす頃には、皆翠巒に傾倒していたのだった。
翠巒は、決して怪物めいて傑出した人間ではなかった。その能力、知識、全てにおいて抜きんでてはいたが、どんなに優れた能力も、彼の調和を乱すことはできなかった。常人ならざるあらゆる素質を、彼は完璧に治めていたのだ。
そしてついに寺の修理が終わった、その日の夜。村の者との宴の中で、翠巒はこう告げた。
「これから私は、此処でものを教えたいと思います」
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