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英国青年が去るのを見届けると、奈々は薬品室の冷蔵庫に保冷カバンをそのまま入れた。
念の為にいつもの保冷カバンが入ってあるとメモに書き、冷蔵庫に磁石で貼り付ける。
「あとはいつも通り……。どうせ明日だって変なの来るんだから、気にしない、気にしない」
奈々はわざわざ声に出して言うと、時間になるまで仕事をこなした。
夕方5時45分、夜勤担当であり、奈々の先輩でもある仲野美紀が出勤してきた。
「おはよう」
「おはようございます。仲野さん、例のが来てます……。引き継ぎは以上です」
奈々が引き継ぎをすると、美紀の目が一瞬だけ、輝いて見えた。
「そう、分かったわ」
一瞬見えた表情と裏腹に、美紀の声音は冷たい。
奈々は時間になると、早々に退勤した。
明日だって別のおかしなのが来るのだ、1秒でも早く帰って休みたかった。
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