あてどない旅

手紙

「たろちゃんへ

お元気ですか？そちらはどんな天気なのでしょうか。
台風が早く来て大変なのではないでしょうか？
こちらは海の近くですが、台風は逸れてしまいそうなので安心しています。

というのも今、魔法をかけているんです。
夏がはやくくるようにって。
たろちゃん知ってた？好きな花の種を手作りの袋に入れて枕の下に入れて
願い事を3回唱えてから眠るの。
それを続けてると叶うんだって！
私欲張りだから2つお願い事があるので、毎晩大忙しです。

この間はちーちゃんが来てくれました。
彼女は相変わらずお洒落で、キラキラしていました。
ってたろちゃんは覚えてるかな？！
たろちゃんと同じクラスだった子だよ。

たろちゃん、急なのですが、私はずっとたろちゃんが好きでした。
たろちゃんの描く絵も全部好きでした。
もう一つ急なのですが、多分この手紙が届く頃、私はもういません。
言い逃げみたいになってしまってごめんね！

たろちゃん、色々急でごめんだけどさ、
よかったら会いに来て欲しいな、急いでね。
私の魔法が続くうちに会いに来てね。
それで、ひまわり畑の絵を描いて欲しいな。

ごめんね、たろちゃん、ありがとう。
お仕事忙しいだろうけど無理しないでね。
お身体に気をつけてください。

ゆり」