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原稿を見ながら緊張した様子で喋るアナウンサー。その声の背後にガヤガヤと慌ただしく喋るスタッフの声。画面から読み取れる全ての情報がこの状況の信憑性と危機感を物語っていた。
そんなことあるのかーー?
とにかく祐樹にも教えなくては。
心臓がいつもより大きく音を立ててるのを嫌に思いながら、再び携帯を耳に当てる。
『テレビ見れるか?ニュース見てみろ!』
『俺も今見てきた…太陽が消えたってどういう事だよ?!俺達これからどうなるんだ?し、死ぬのか…?暗闇になって、電気もつかなくなって…』
いくら何でも動揺し過ぎじゃないか?
いつもこんなちょっとやそっとでここまで気が動転するほどヤワな奴ではなかったはずだ。
『おい、どうしたんだ?』
『植物も全部枯れて、凍えて、呼吸もままならなくなって…死ぬのか?!』
『おいって!落ち着けよ!いくら何でも動揺し過ぎだろ?どうしたんだ、祐樹』
ここまで動揺するなんて、なんか訳があるのかも知れない。
なんだか嫌な胸騒ぎもする。
『あ、ああ悪い取り乱した…』
少し間が空いてそう返ってきた。
『いや、いいんだ。そりゃ太陽がきえたって聞けば誰でも驚くだろうけど…何かあったのか?』
『実はな…』
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目を開くとそこは、俺達の高校の校庭だった。なぜここにいるかも分からない。ただ、空は塗りつぶしたように真っ黒で周りには人の気配は全くしなかった。
「何でここに?なんか変な雰囲気だし、スゲーさみぃしーー、とりあえず家に帰ってみるか。」
手を摩って温めながら門を潜る。
ふと道に視線を落とすと、すぐそばには
ーー人が倒れていた。
「えっ!」
俺は急いでて駆け寄って頭を抱えあげた。30後半くらいのおじさんで、生きているとは思えないほど青白い顔で小刻みに震えていた。
「大丈夫ですか?!今助けを読んできます!」
「そうだ、救急車も…」
慌ててポケットから携帯を取り出して電話を掛けようとした時、腕に突然衝撃が走り、携帯を取り落とす。
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